昨今、プログラムを極力書かずとも、自分がほしいアプリを作成することができるという理由で「ローコード」の需要が非常に高まっていると感じます。
弊社でもMicrosoftのローコードツールである「Power Automate/Power Apps」のコンサルティングやアプリ開発を通じて、 多くの企業様の支援をさせていただいております。
また、少し前に市民開発者の方を支援するDX教育プログラム内製化支援サービスを立ち上げました。
このブログを見てくださっている皆さんはPower Apps・Power Automateの開発や推進に携わっているかと思いますが、皆さんはどのようにして勉強していますでしょうか?
今回はPower Platform歴2年半である私がPower Platformに出会ったばかりの頃にどのように知識を習得したかお伝えしようかと思います。
市民開発者になりたいが、どの用に勉強すればよいかわからない方や、市民開発者の育成を推進していく方に読んでいただきたい内容となっています。
本ブログは、全2回の第2回目となる内容です。
第1回目の内容に関しては、以下ブログを参照してください。
Day 8-10 多くのアプリ・フローを作成する
ここまできているあなたは、ある程度Power Apps・Power Automateを作成することができる段階にあるはずです。
本フェーズでは多くのアプリを作成することで、理解度の向上と、アプリ作成の手順に慣れることが目的です。
ネットでPower Apps・Power Automateのサンプルを検索し、作成してみましょう。
YouTubeなどに有益な動画がいっぱい挙がっておりますので、片っ端からアプリを真似して作成しましょう。
ポイントとしては、全フェーズと同様ですが、 「分かったつもり」にならないようにするため、一度見ながら作ったアプリを再度自力で構築できるまで繰り返すことです。
(結局この手間を惜しまず、愚直に対応している方が、最終的には優れた技術を持った市民開発者となっている印象です)
Day 11- 自分が必要なアプリを設計・構築+リファクタリング
ここまできたあなたは、Power Apps・Power Automateに関する基本的な知識を網羅的に把握しており、 「必要なアプリの要件を洗い出せば、大まかなアプリ・フローの設計ができる」段階となっているはずです。
本フェーズでは、最終段階として自分が必要なアプリを設計・作成していきます。
といっても、業務で用いるアプリを実際に作成するということではありません。
私が行ったのは、個人的にほしいなと思っているアプリを作成することでした。
なぜ業務で用いるアプリを作成しないのか?それは以下のような理由があります。
要件ヒアリングなどを行う必要があり、時間がかかる&複雑化する
業務で用いるアプリの場合は、業務要件などを他者からヒアリングし、設計・構築を行います。
上記の場合、他者に要件を聞きながら進めていく必要があるため、物理的な時間が必要となります。
一方、自分が必要なアプリであれば、要件はすぐに出すことができるので、短期間に設計が可能です。また、要件ヒアリングを行うと、色々な意見が出てきて、要件が複雑化しがちです。
最初からハードルの高いアプリを作ろうとすると、途端にやる気が無くなってしまうので、私はおすすめしません。閑話休題
本フェーズではあまり関係ない話ですが、アプリ設計時のポイントについて、私の考え方を述べさせください。
アプリの設計を行う際には、なるべく標準機能で実装するという考え方がとても重要となります。
どうしてもアプリを作成できるようになると、ヒアリングした要件をすべて満たそうとしてしまいがちですが、そもそもローコードは、業務全体の6-7割を短期間でツール化できることが強みだと思っています。
(逆を言うと、7割以上の機能を求められる場合には、ローコードの強みを活かせないということ)詳細に関しては以下URLを読んでいただければと思いますが、ローコード開発者はアプリ構築技術だけではなく、業務整理の力も必要になります。
自分が欲しているアプリを作る方が楽しいから
こちらは単純なお話となりますが、自分が欲しているアプリを作成したほうが楽しいのではないでしょうか。
私の場合は、一人旅行が好きなので、旅行を管理するアプリを作成しました。
当時必要な要件として洗い出したのは以下です。
旅行時に使った金額を入力できる
旅行のスケジュールを入力できる
旅行の行き先をランダムに決めてくれる
自分が欲しているアプリだったので、ワクワクしながら作成したことを覚えています。
(特に行き先をランダムに決めてくれる機能は、今でも重宝しています(笑))
ちなみに、自分が必要なアプリがないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その場合には、以下観点で作成するアプリのネタを考えてみるのはいかがでしょうか?
Excelやメールで行っている業務を自動化してみる
普段、Excelやメールを使って、入力作業や連絡を行っている場合は、そちらをアプリ化してみましょう。
重要なことは、すべての業務を自動化するのではなく、全体の6-7割までの自動化を目指すことです。スマホのアプリを模倣してみる
スマホのアプリを模倣するというのも私はやっていました。
例えば、ニュースをまとめているアプリの場合、ニュース一覧をカテゴリごとに表示する画面やニュース投稿画面を作成していました。
自分の頭の中でイメージできる「なにか(=業務やアプリ)」があれば、それをPower Apps・Power Automateで置き換えていけば良いと思います。
本フェーズでは、自分が必要としているアプリを作成するため、お手本となるアプリが存在しません。
よって、不明点やエラーが発生した場合には、ひたすら調査するしかありません。
でも大丈夫です!
今までのフェーズをこなしているあなたであれば、問題となっている箇所の大まかな切り分けや、ネットで調査する際に「何を検索語句として入力すればよいのか」がなんとなく分かるのではないでしょうか?
(逆を言うと、不明点やエラーに対して「手の付け方がわからない」という方は、前フェーズまでをやり直すことをおすすめします。)
不明点があった場合には、基本的にはネットで検索すると思いますが、皆さんは日本語で検索していますでしょうか?
絶対に行っていただきたいのは、英語で検索するということです。
日本語と英語では検索にヒットする数がまったく違います。
(特に、エラーに関する内容はほとんど英語でないと検索されないイメージがあります。)
最近は生成系AIのおかげで、日本語でもある程度の検索はできるようになってきましたが、生成系AIの出力結果の裏付けを行うためにも、英語での再検索は必須だと思います。
日本語しか理解できない方にとっては、ハードルが高いと思いますが、翻訳ツールなどもありますので、ITの力を駆使しながら、英語で検索することに慣れていきましょう。
英語での検索を続けていくとわかってきますが、英語を理解できなくても検索はできるようにはなります。
(私もまったく英語は喋れません!(笑))
英語での検索に関する私のナレッジは以下です。
「<固有名刺> not working」や「<固有名刺> not show」で検索する
MicrosoftのDocsの場合は、URLのen-usをja-jpに変換する
- ブラウザの日本語翻訳機能を使う
リファクタリングについて
アプリを構築したら終わりではなく、そのアプリをリファクタリングすることをおすすめします。
リファクタリングとは、「機能を変えずに内部をよりよい状態に変更すること」を指します。
よりよい状態とはなにか?というと以下の項目が挙げられます。
無駄な処理を省く
未使用の変数を削除する
データソースから必要なデータのみ取得するように変更する
エラー処理を追加する
アプリを1から作成した皆さんは、細かい部分までその内容を把握しているかと思います。
リファクタリングを行うと、Power Apps・Power Automateに関する知識がより深まっていきます。
(ちなみに私は、リファクタリングを行うと自分が作ったアプリがより洗練されている感じがするので、とても好きな作業です!)
Day XX- 市民開発者デビュー
上記までのフェーズをこなしている皆様は、既にPower Apps・Power Automateを使って自分や自部署がほしいアプリを設計・構築できるようになっています!
必要なアプリをどんどん作成し、業務改善に役立ててください!!
全体を通してのまとめ
ローコードは誰でもできるのではないかと思っていた方は、以外に大変だなと思った方もいらっしゃいますでしょうか。
ローコードに限らずですが、自分が知らない分野について勉強する際は、初期コストはある程度覚悟する必要があると思います。
ちなみに、初期コストに掛ける期間はどれくらいでしょうか?
私は1~3ヶ月程度かなと思っております。
私の場合は、アーティサンに入社し初めてPower Apps・Power Automateに触れましたが、それぞれ1ヶ月程度の勉強を行いました。
(客先から要件を言われたら、必要な画面や機能を大まかに設計・構築できる状態)
勉強はあくまで事前準備の段階ですので、なるべく短期集中型で行うことをおすすめします。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
Power Apps・Power Automateの勉強方法について、私が実際行った方法を記載させていただきました。
上記フェーズを1人で行うことは、結構しんどいことが多いです。
(特に社内にナレッジを持ってる人がいない場合は、とても大変なのではないでしょうか。)
そのような場合には、弊社にも「内製化支援サービス」というプランがございます。
本サービスでは、Power Platformに関して、設計・開発する際の疑問点や日頃のお悩み対して一緒に解決する「伴走型支援」のサービスです。
1人で悩んで、解決策が見つからないと感じている方は、ぜひ弊社サービスをご検討してみてください。
【こちらも合わせて読みたい】
小刀稱知哉
大分県出身(温泉大好き)、現在は東京都在住
1990年生まれ
30才でメーカーの技術営業からIT業界にジョブチェンジ!!!
趣味は読書
主にMicrosoftのローコード(SharePoint・Power Platform)に関するに関する営業活動や設計、開発などを担当しております!
持ってる資格はPL-200/PL-300/PL-400/PL-600/MS-700/AZ-104/AZ-305/SC-200
こんにちは。アーティサン株式会社の小刀稱(ことね)です。