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Advisor
2024.10.23

【内製化支援ツール】Power Platform Advisor の紹介

【内製化支援ツール】Power Platform Advisor の紹介
小刀稱知哉

こんにちは。アーティサン株式会社の小刀稱(ことね)です。

今回はPower Platform Advisor という新機能の紹介です。 現状はプレビュー機能ですが、Power Platform管理センターからPower Platformの管理を行うことが可能です。

本ブログでは、Power Platform Advisor を実行するまでの手順や、Power Platform Advisor で何ができるのかを紹介していきます。

社内で市民開発を進めていきたいが、管理をどのようにすればよいかわからないという方に向けた内容となっています。

    弊社では、Microsoftのローコードツールである「Power Automate/Power Apps」のコンサルティングやアプリ開発を通じて、 多くの企業様の支援をさせていただいております。

    また、市民開発者の方を支援する「DX教育プログラム」「内製化支援サービス」を立ち上げております。


    DX人材育成プログラム | Power Apps・Power Automate 教育

    内製化支援サービス | Power Platform(Power Apps・Power Automate)


    内製化を推進していきたいが、具体的にどのように行えばよいかわからないという方は、ぜひお問い合わせください。

Power Platform Advisor とは

以下、Microsoftの公式ドキュメントからの引用です。

Power Platform Advisor の使用 (プレビュー)

    Power Platform Advisor は、Power Platform テナントを最適化するための個別提案のガイドです。 アドバイザーは、使用している Power Platform テナント内の環境のすべてのマネージド環境とアプリで分析します。 アドバイザーは、ソリューションを使用して、セキュリティ、信頼性、全体的な正常性を強化します。

    アドバイザーと一緒に、管理者は次のことを実行できます。


    • プロアクティブに行動でき、ベスト プラクティスの推奨事項を提示できます。
    • Power Platform テナントの全体的な正常性を向上させます。
    • インラインでアクションを実行したり、クラウド フローを使用してアクションを自動化します。

本機能を使用することで、一度作ったけどそれ以降使われていないアプリ・退職などにより所有者がいなくなったアプリ(通常、野良アプリ)や、セキュリティリスクの大きいアプリを自動抽出してくれます。

さらに、自動抽出されたアプリに対し、適切なアクションを行うこともサポートしてくれます。

Power Platform Advisor を使用するための前提条件

Power Platform Advisor を使用するには、以下の前提条件があります。

  • 管理者に適切なロールが付与されていること
  • 管理したい対象の環境が、マネージド環境であること
  • テナントレベルでの分析が有効となっていること

以下、それぞれ説明していきます。

管理者に適切なロールが付与されていること

Power Platform Advisor にアクセスするユーザーは、以下ロールのうち少なくとも1つを持っている必要があります。

  • Power Platform 管理者
  • Dynamics 365 管理者
  • Power Platform テナント内のグローバル管理者

ロールの設定方法は、以下手順となります。

(詳細は、以下URLを参考にしてください。)
ユーザーへのサービス管理者ロールの割り当て

  1. Microsoft 365 管理センター(https://admin.microsoft.com/)にアクセス
  2. ユーザーアクティブなユーザー をクリック
  3. 対象ユーザーを選択し、役割の管理 をクリック
  4. 管理センターに対するアクセス許可 をクリック
  5. すべてをカテゴリ別に表示 をクリックし、管理者ロール一覧を表示
  6. 適切なロールを選択し、変更の保存 をクリック

管理したい対象の環境が、マネージド環境であること

Power Platform Advisor を使用するためには、管理したい対象の環境がマネージド環境である必要があります。

    参考:マネージド環境とは

    マネージド環境に変更すると、Power Platformのガバナンス設定をより簡単に行うことができるようになります。

    (例:アプリの共有ルールを設定・DLPポリシーのチェック など)

    マネージド環境の概要

マネージド環境への変更方法は、以下手順です。

(詳細は、以下URLを参考にしてください。)
マネージド環境を有効にする

  1. Power Platform 管理センター(https://admin.powerplatform.microsoft.com/)→ 環境 をクリック
  2. 対象環境の3点リーダーマネージド環境を有効にする有効にする をクリック

※マネージド環境を有効にする ペインの設定項目は以下を参照にしてください。(後ほど設定変更は可能です。)
管理センターでマネージド環境の有効化や編集を行う

テナントレベルでの分析が有効となっていること

Power Platform Advisor では、レコメンデーション(=確認が必要なアプリを自動抽出する)機能があります。 レコメンデーション機能を利用するためには、テナントレベルでの分析が有効になっている必要があります。

レコメンデーション機能の設定方法については、以下URLをご参照ください。
テナント レベルでの分析を有効にする方法は?

Power Platform Advisor でできること

それでは、Power Platform Advisor でできることについて紹介します。

Power Platform Advisor は、大まかには以下の機能を提供してくれます。
 1. 確認が必要なアプリを自動抽出
 2. 自動抽出されたアプリに対し、適切なアクションを行うためのサポート

また、現状では以下条件に合致するアプリを自動的にレコメンデーションしてくれます。
 - 有効な所有者のいないアプリ
 - 過去 60 日間使用されていないアプリ
 - すべてのユーザーに共有されたアプリ

以下で、実例と一緒に機能を紹介します。

有効な所有者のいないアプリ

アプリを作成したが、退職などの理由によりEntra IDからライセンスが削除されたため、有効な所有者がいなくなったアプリを抽出します。

Power Appsにおいて、最初にそのアプリを作成したユーザーは所有者となります。 所有者のみ操作できる機能(例:アプリの削除)があるため、所有者は重要な役割です。

本レコメンデーションで対応できるアクションとしては、以下となります。

  • 新しい所有者に割り当てる
    対象のアプリに新しい所有者を設定することができます。

  • 共同所有者を所有者に昇格する 
    既に共同所有者となっているユーザーを、新しい所有者を設定することができます。

  • 削除
    アプリが削除されます。

  • Teamsで共有
    所有者や特定のユーザーに対して、Teamsにて連絡することができます。

過去 60 日間使用されていないアプリ

過去 60 日間使用されていないアプリを抽出します。


市民開発者の方の中で、「一度サンプルで作成したが、それ以降使っていないアプリ」は多く存在しているのではないでしょうか。

ただし、サンプルの作成を制限すると、市民開発の流れを止めてしまうことになるので、私個人の見解としては「気軽にアプリを作ることは制限せずに、不要になったプリは定期的に削除する」という管理方法が良いのではないかと考えております。

本レコメンデーションで対応できるアクションとしては、以下となります。

  • 隔離
    アプリを隔離すると、対象アプリの再生ができなくなります。(ただし、アプリの編集は可能)
    また、隔離されたアプリを再び有効にするにはPowerShellを用いる必要があります。
    詳細は以下URLをご参照ください。
    アプリを隔離する

  • 削除
    アプリが削除されます。

  • Teamsで共有
    所有者や特定のユーザーに対して、Teamsにて連絡することができます。

すべてのユーザーに共有されたアプリ

本レコメンデーションは、アクティブに使用されていて、全員と共有(ゲストユーザー含む)されているアプリを抽出します。

アプリに限らず、業務で使用する多くのリソースは「必要な人だけに権限を与える(=Need To Know)」という考え方が基本となります。 必要以上の範囲で共有しないことを心がけましょう。

本レコメンデーションで対応できるアクションとしては、以下となります。

Teamsで共有
 所有者や特定のユーザーに対して、Teamsにて連絡することができます。

参考:CoE Starter Kitとの違いは?

Power Platformの管理を行う場合、CoE Starter Kitを用いるという選択肢もあるかと思います。

Microsoft Power Platform Center of Excellence (CoE) スターター キット

CoE Starter Kitは管理するための機能が充実している一方、インストール作業が結構大変です。

また、インストールされたアプリが多く、管理ツールを活用するための運用コストが大きいという点があります。

一方、Power Platform Advisor の場合は、インストール作業が不要であり、 Power Platformに関する最低限の管理を行うことができるようになります。

(「最低限」といいつつ、私個人の見解としては、今回の機能で充分管理できるのではないかとも思っています。)

さいごに

いかがでしたでしょうか。

今回はPower Platform Advisor という新機能の紹介を行いました。

現状はプレビュー機能ですが、Power Platform管理センターからPower Platformの管理を行うことが可能となりますので、 管理者の方は、ぜひお試ししていただければと思います!


    弊社ではお客様の業務を効率化するご支援を数多く承っております。 普段の業務の中で、「〇〇をもっと効率化できないか」というような疑問がある場合には、お気軽にアーティサン株式会社までお問い合わせください。

Power Platform(SharePoint・Power Apps・Power Automate)に関する営業活動や設計、開発などを担当:小刀稱知哉

小刀稱知哉

大分県出身(温泉大好き)、現在は東京都在住

1990年生まれ

30才でメーカーの技術営業からIT業界にジョブチェンジ!!!

趣味は読書

Power Platform(SharePoint・Power Apps・Power Automate)に関する営業活動や設計、開発などを担当しております!

持ってる資格はPL-200/PL-300/PL-400/PL-600/MS-700/AZ-104/AZ-305

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