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Power Platform
2022.10.26

Power Automate:メールの送信元まとめ(Power Apps編)

Power Automate:メールの送信元まとめ(Power Apps編)
小刀稱知哉

こんにちは。アーティサン株式会社の小刀稱(ことね)です。

Power Automateで「メールの送信」アクション用いる際、差出人を意識したことはありますか?

共有メールボックスを用いて差出人を変更することはできますが、今回は基本的な部分に立ち戻り、
「結局差出人って誰が設定されるの?」についてまとめてみました。

「メールの送信」アクションを用いるシーンはよくあると思いますので、参考にしてください。

前回のブログでは「SharePointリスト編」と題して、SharePointリストとPower Automateを連携した際のメール送信元について、調査した結果を紹介させていただきました。

 

今回は「Power Apps編」として、Power AppsとPower Automateを連携した際のメール送信元について、調査した結果を紹介します。

 

結論

はじめに結論を記載いたします。

Power Automateのトリガーの種類によって、差出人は変わります。

  • トリガー:PowerAppsの場合
    差出人は、Power Apps実行者となる。

  • トリガー:PowerApps(V2)の場合
    差出人は、「実行のみのユーザー」で「この接続を使用する」を選択した場合は、「この接続」で選択されたユーザーとなる。
    それ以外の場合は、Power Appsの実行者となる。

調査内容を以下で説明します。

 

今回作成したPower Apps・Power Automate

今回作成したPower Apps・Power Automateについて説明します。

Power Apps キャンバスアプリ上にボタンを配置し、ボタンをクリックすると、Power Automateが起動する仕組みです。

Power Automateでは、「メールを送信する(V2)」アクションを用いて、メールを送信しています。
Power Appsと連携する際のトリガーとしては、「PowerApps」と「PowerApps(V2)」の2種類あります。

(PowerApps(V2)はPower Appsからデータを取得する際、引数を明示的に定義することができるようになりました。)
また、共有の方法も従来とは異なり、「実行のみのユーザー」を指定することができるようになっております。

(イメージとしては、PowerAppsが「自動化したクラウドフロー」であり、PowerApps(V2)が「インスタント クラウドフロー」という感じです。)

Power Automate:メールの送信元まとめ(Power Apps編)
今回の構成

共有の方法としては、Power Apps・Power Automateのそれぞれで、以下のように設定が可能です。

 

Power Apps の共有方法

共有方法

所有者

共同所有者

ユーザー

共有なし

Power Automate:メールの送信元まとめ(Power Apps編)
Power Appsでの共有

Power Automate の共有方法

  • トリガー:PowerApps の場合

    共有方法

    作成者

    共同所有者

    共有なし

    ※注意※

    正確には Power Automate に「作成者」という概念はありません。
    作成者以外を「所有者」として共有した場合は、見た目上、作成者も同じ「所有者」という権限になります。
    しかし、実際の権限としては、少し異なります。
    (作成者はフローを削除することはできるが、共同所有者は削除できない。)

    よって、今回は「所有者」という権限を「作成者」と「共同所有者」に分けて記載しています。

    共有の内容としては、以下になります。

    • 作成者:フローを作成した人

    • 共同所有者:フローを「所有者」として共有された人

    Power Automate:メールの送信元まとめ(Power Apps編)
    Power Automate(トリガー:PowerApps)での共有
  • トリガー:PowerApps(V2)の場合

    共有方法

    作成者

    所有者

    実行のみのユーザー:実行専用のユーザー

    実行のみのユーザー:この接続を使用する

    共有なし

Power Automate:メールの送信元まとめ(Power Apps編)
Power Automate(トリガー:PowerApps(V2))での共有

今回は Power Apps・Power Automate のすべての共有の組み合わせについて、メールの送信元を調査いたしました。

 

調査結果

前述した内容を表にまとめました。

ポイントとしては以下です。

Point

  • メールの差出人としては、Power Automate の共有方法に関わらず、基本的には Power Apps の実行者となる。

  • Power Automate の共有方法が「実行のみのユーザー:この接続を使用する」となっていた場合は、差出人は「この接続」で選択したユーザーとなる。

詳細を以下に記載します。

 

Power Appsを所有者として共有されている場合(=Power Apps作成者)

Power Appsの
共有の状態

Power Automateの
トリガー

Power Automateの
共有の状態

差出人

所有者

Power Apps

作成者

Power Apps 実行者

 

 

所有者

Power Apps 実行者

 

 

共有なし

Power Apps 実行者

所有者

Power Apps(V2)

所有者

Power Apps 実行者

 

 

実行のみのユーザー:
実行専用のユーザー

Power Apps 実行者

 

 

実行のみのユーザー:
この接続を使用する

「この接続」で選択したユーザー

 

 

共有なし

Power Apps 実行者

Power Appsを共同所有者として共有されている場合

Power Appsの
共有の状態

Power Automateの
トリガー

Power Automateの
共有の状態

差出人

共同所有者

Power Apps

作成者

Power Apps 実行者

 

 

所有者

Power Apps 実行者

 

 

共有なし

Power Apps 実行者

共同所有者

Power Apps(V2)

所有者

Power Apps 実行者

 

 

実行のみのユーザー:
実行専用のユーザー

Power Apps 実行者

 

 

実行のみのユーザー:
この接続を使用する

「この接続」で選択したユーザー

 

 

共有なし

Power Apps 実行者

Power Appsをユーザーとして共有されている場合

Power Appsの
共有の状態

Power Automateの
トリガー

Power Automateの
共有の状態

差出人

ユーザー

Power Apps

作成者

Power Apps 実行者

 

 

所有者

Power Apps 実行者

 

 

共有なし

Power Apps 実行者

ユーザー

Power Apps(V2)

所有者

Power Apps 実行者

 

 

実行のみのユーザー:
実行専用のユーザー

Power Apps 実行者

 

 

実行のみのユーザー:
この接続を使用する

「この接続」で選択したユーザー

 

 

共有なし

Power Apps 実行者

Power Appsを共有されていない場合

Power Appsの
共有の状態

Power Automateの
トリガー

Power Automateの
共有の状態

差出人

共有なし

Power Apps

作成者

ー(アプリの実行不可)

 

 

所有者

ー(アプリの実行不可)

 

 

共有なし

ー(アプリの実行不可)

共有なし

Power Apps(V2)

所有者

ー(アプリの実行不可)

 

 

実行のみのユーザー:
実行専用のユーザー

ー(アプリの実行不可)

 

 

実行のみのユーザー:
この接続を使用する

ー(アプリの実行不可)

 

 

共有なし

ー(アプリの実行不可)

すべてのパターンを調査してみたら、めちゃめちゃ見づらくなってしまいました 💦(笑)

 

補足:Power Automate の共有について

上記表を見ていただければ分かるとおり、Power Automate を共有していなくても(Power automateの共有の状態が「共有なし」となっていても)、Power Apps の権限を持っている場合は、Power Apps から Power Automate を起動することは可能です。

アプリやフローを作成した後、他のユーザーに展開する際「Power Automate も共有したほうが良いのか?」と質問をいただくことはありますが、基本的にはPower Apps の共有処理を行うのみで対応可能であり、Power Automate 側での共有処理は不要です。

Power Apps や Power Automate に限らず、すべてのアプリ・サービスにおいて、共有の範囲は最小限に留めることはとても重要な概念となります。 今回の調査結果を参照いただき、最小限の共有範囲にて展開するようにしてください。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか?

Power Apps と Power Automate を連携し、メールを送信するという処理は多くの場面で必要となる処理です。
その際、メールの送信元を把握することは重要だと思いますので、是非参考にしてください。

Power Platform(SharePoint・Power Apps・Power Automate)に関する営業活動や設計、開発などを担当:小刀稱知哉

小刀稱知哉

大分県出身(温泉大好き)、現在は東京都在住

1990年生まれ

30才でメーカーの技術営業からIT業界にジョブチェンジ!!!

趣味は読書

Power Platform(SharePoint・Power Apps・Power Automate)に関する営業活動や設計、開発などを担当しております!

持ってる資格はPL-200/PL-300/PL-400/PL-600/MS-700/AZ-104/AZ-305/SC-200

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